レーシックの真実

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レーシック失敗による眼精疲労と目の痛み

レーシック失敗による眼精疲労と目の痛み

「見えすぎによる眼精疲労、眼の痛み…」などは良く知られている症状ですが、その後に続く「ドライアイ・充血、まぶしさ…」も過剰な矯正が行なわれた場合に起こります。

それでは「過剰な矯正」とはどの程度の矯正のことでしょうか。ヒトの眼はたえず調節運動をしながら、遠くを見たり、近くを見たりしています。しかし一定の距離(とくに近方)で調節し続けると、そこに焦点が合いやすくなるように、一種の適応現象が眼に起こり始めます。つまり調節をしなくても、そこにピントが合うようになります。これが近視という適応現象の始まりで、そのヒトにとって(実は)都合の良い状態になります。しかし一方で、この近視という適応現象は都合が良いことばかりではなく、遠くの物が見え難くなるという大きな欠点があります。遠方視力の減退は、近代社会に於いては不都合な場面が多いため、眼鏡やコンタクトレンズなどの屈折矯正法が考案されてきました。眼鏡やコンタクトなどの屈折矯正用具が、遠方視力の必要な場面だけで使用されれば良いのですが、常に矯正された状態でいると、近くの物を見るとき更なる適応が起こり始めます。この過剰な適応は、屈折矯正用具がないと手元すら見えないという強度近視化を引き起こします。

つまり「適正な矯正」というのは相対的なものであるということです。デスクワークを1日8時間以上強行する人々にとって-1.00〜-2.00D程度の軽度な近視は、ある意味で理想的な適応が起こっていると考えるべきなのでしょう(なかなかそうは思えませんが)。遠方視力を測定すると軽度近視の人でも0.1-0.3程度しか見えません。しかし、中間視力や近方視力について言えば1.5まで楽に見えているでしょう。ここで必要な考え方は、視力という概念が遠方視力だけで代表され過ぎているということです。中間距離や近くでの見え方(近方視力)、色彩に対する感度(色覚)、周辺視力(視野)、暗順応、立体視力(深視力)、動体視力なども眼の重要な働きです。遠方視力を強調しすぎると、他の視力機能が障害されます。これらの視機能がバランス良く得られているという状態が「適正な矯正」ということになるのでしょう。しかし個々眼に於いて、強く必要とする視機能は異なるのものです。つまり視機能の適正なバランスは個々に異なるということです。

俗にいう過矯正に陥ると、皆さんが予想だにしない視機能のアンバランスが生じます。例えば、色彩感覚が低下し「濃紺と黒の見分けがつかない」など、微妙な色彩感覚が失われます。そして全体的にセピアがかった見え方になります。また暗い所で見え方が極端に悪くなります。ハログレも暗い所で起こり易いものですが、これはハログレと関係なく起こります。また近方、中間距離での解像度(これが視力なのですが)の低下を引き起こし、微細な縞模様が判別できなくなることがあります。他にも周辺視野の感度が低下するなど、上記したように遠方視力以外のすべての視機能の低下を起こします。ひどい過矯正は遠方視力の障害さえ引き起こします。

術後に頻発するドライアイは、そのほとんどが過矯正によるものだと考えて良いと思います。単に人口涙液を点眼したり、涙点プラグを装着するだけでは改善しないことがあります。勿論、術後ドライアイが起こった時は、これらの対策は採った方が良いということには間違いはありませんが、しかし根本的な問題として、これらは矯正が強すぎるために起こっている合併症だという認識を、皆さんに持って頂くことが大切でしょう。レーシック手術の場合、コンタクトや眼鏡を合わせるとき以上に強めに矯正が設定されることが一般的です。驚かれるかもしれませんが、これは事実です。レーシックはパーマネントな効果を期待する手術であるだけに、すぐに近視化して視力が低下するという現象は、レーシックという医療技術をビジネス・モデルとして考えたとき、ことは致命的です。そのため強めに矯正を加えることが一般的な考え方になっています。しかし一方で、万が一クレームになるほどの過矯正が起こったとき、それがコンタクトや眼鏡なら再処方も簡単なところですが、レーシックによる遠視矯正となると難しいというのが現状です。それを正確にリカバリーできる施設は日本国内でも極めて限られます。

一端、話題を変えましょう。仮に過矯正が疑われるとき、多くの専門家を含めて「老眼鏡を掛けると良い」とあっさりと言われます。しかし、若い人で調節能力が豊富に残っている場合、通常の遠視矯正用、或いは老眼用の眼鏡処方は反って眼精疲労を助長します。この様な場合の眼鏡処方には多少の経験が必要です。過矯正が疑われる場合に処方される眼鏡を使用すると疲れ易くなったり、見え辛いと感じるのは眼鏡の処方に間違いがあるからです。