レーシックの真実

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過矯正の弊害について

過矯正の弊害について

屈折矯正治療について、過去に主流であった「RK」という術式は現在のレーシックほど、強い矯正を行う事はできませんでした。0.5、0.6の視力へ矯正することが通常でしたが、それでも、生活水準に適合した視力でした。ここでお伝えしたいのことは、近視矯正治療の目的は、単に視力1.5、2.0といわれるような視力を矯正するだけではなく、本人にとっての「見え方の質」をいかに高めていくかが重要であるということです。

「見え方の質」を高めるためには、様々な眼の働きについて、十分に考慮した上で、矯正を行うことが必要となります。視力1.5、2.0といわれるような遠方視力を始めとして、主な眼の働きとして下記のようなものが挙げられます。

  • 遠方視力(遠い距離を見る際の視力)
  • 近方視力(近い距離、手元を見る際の視力)
  • 深視力(立体感)
  • 周辺視力(中心外視力、視野周辺の視力)
  • 暗視力(暗い場所での視力)
  • 色覚(色の区別、濃淡の認識)

上記の眼の能力のうち、近視矯正手術を行う際に、最も重視されるのが遠方視力です。 ランドルト環を用いた視力検査で測定される、遠方視力1.0という数値は、 たとえば、ライフル銃で1キロ先の離れた位置にある30cm幅の標的が見える能力に相当します。 現代人の多くの方の場合、日常生活においては、ここまでの能力は必要のない方がほとんどです。 逆に、本を読んだり、パソコンの画面を見たりなど、手元での作業を行うことが多い現代人は、 視力0.8〜1.0が、一般的に適切な矯正の範囲と言えます。 (もちろん、スポーツ選手など職業上、より高い遠方視力の能力が必要となる方や、 スポーツなど趣味のために、遠方視力の能力を希望される方は例外となりますが。)

遠方視力だけを極端に矯正した場合、その他の眼の能力に悪影響が出ることがあります。 例えば、過矯正の人に多く見られるのが、 「レーシック手術により視力は2.0になったが、手元が見にくくなり、眼が疲れやすくなってしまった。」というような状態です。

近くと遠くのピントの切り替えは、眼の周りの毛様体筋という筋肉により、水晶体の厚みが調節されることで行われています。 老眼とは、老化によって、水晶体が固くなる、毛様体筋が衰える、などの要因で、ピント調整能力が弱まった状態をいいます。 レーシック手術により、以前よりも極端に遠くにピントが合った状態へと矯正した場合、 どんなに若い健康な眼であっても、調節の能力には限界ありますので、 「手元にピントが合わせにくい」という、ちょうど老眼と同じような感覚となってしまうのです。 眼が疲れやすくなるのは、極端なピント調整が多くなることによって、毛様体筋が酷使されるためです。

同じように、過剰に遠方視力を強めた場合、深視力、周辺視力、暗視力、色覚などにも悪影響が現れます。この中でも、過矯正の人に多く見られるのは、暗視力の悪化です。 このように、より良い見え方の質を目指した治療を行うためには、遠方視力だけを矯正するのではなく、様々なの眼の働きを十分に考慮し、バランスを考えながら矯正することが必要となります。 これらのバランスが取れていないと、気持ちの悪い見え方がする、疲れやすい、色が薄く見えるなど、様々な問題を抱えた見え方の状態となってしまうことが考えられます。

必要以上の矯正、「過矯正」

眼は、自律神経と連絡し合っている重要な感覚器官です。万一、本来の見え方や普段の生活を無視した、不適切な矯正を行ってしまった場合、強いストレスを感じ、鬱病や精神的に不安定な状況に陥ってしまうということも十分に考えられます。 このような患者さんに特に多く見られるのが、数値上の視力が向上することだけに偏重し、必要以上の矯正を行ってしまう、過矯正という状態です。

一元的には言えませんが、過矯正の場合、多くの方が次のような症状が現れます。

  • 光がまぶしく見える、ギラつく
  • 暗いところで見えにくくなる
  • 頭痛がする
  • 首の痛みがある
  • 肩の痛みがある
  • ドライアイ

過剰な矯正によって生じた不都合を特定するためには、瞳孔の動き、速さ、大きさ、左右の差、わずかな斜視など、眼の微妙な変化を診察する必要があります。データだけを見るのではなく、本質的な良い見え方というものについてより慎重に考えた上で治療を行っていくことが重要となります。